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サッカー日本代表の最年少が久保建英のままでいいのか 若手登用なしで膨らむ将来への不安

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

連載第16回
杉山茂樹の「看過できない」

 2026年W杯アジア3次予選で、日本は10戦中6試合を消化して5勝1分。勝ち点16を挙げ、2位オーストラリアに勝ち点9差、3位(プレーオフ行き)インドネシアに10差をつけ、グループCで首位を独走する。

 得点は21で失点は2だ。W杯出場は7戦目に当たる次戦(バーレーン戦)に勝利を収めればその瞬間、決まる。ヒリヒリ感ゼロ。感動、感激の少ないこの好成績をどう見るか。

 楽勝になることはアジアの出場枠が4.5から8.5になった瞬間、読めていた。わかりきっていたと言うべきである。実力と出場枠の関係で、日本が世界で最も楽な立場にある国であることはハッキリしているのだ。史上まれに見る緩い環境である。

「W杯予選に簡単な試合がないことは歴史が語っている」とは山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が会見の席で口にした台詞だが、今回はこれまでと余裕度が何倍も違う。

 ジョホールバルの勝利(1998年フランスW杯予選=3.5枠)やドーハの悲劇(1994年アメリカW杯=2枠)の時代と同じスタンスで、難しい戦いだとするのはナンセンスだ。「絶対に負けられない戦い」ではなく、今回は、「絶対に負けない戦い」、絶対に合格する試験なのだ。

 この余裕とどう向き合うか。どう有効に活かすか。8.5枠への拡大が決まった瞬間から日本に課せられた命題だった。ところが日本はそれを怠った。従来と同じノリで臨んでいる。

 森保一監督しかり。勤勉、忠実、真面目。精神主義を重んじる日本人らしい監督と言えばそれまでだが、海外のサンプルに照らせば、非効率極まりないことがよくわかる。

 弱者相手にいい選手で臨みすぎ、ムダに勝ちすぎている。W杯予選は何が起こるかわからないと言って、毎度ベストメンバーと思しき選手をズラリと並べ、大勝劇を収める姿は、戦力のムダ遣い。非効率的と言うべきだろう。代表チーム強化の本筋からも逸脱している。

 4戦目を終えた段階で日本の勝ち点は10だった。2位オーストラリアに勝ち点5差をつけ、すでに首位状態にあった。5戦目、6戦目の相手はインドネシアと中国。にもかかわらず森保監督は27人のメンバーに誰ひとりとして新顔を加えなかった。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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