サッカー日本代表の1トップ事情を福田正博が解説 小川航基の活躍でレギュラー争いに変化あり?
■サッカー日本代表の11月のW杯アジア最終予選2試合で、ケガで招集外となった上田綺世に代わり小川航基がスタメンでプレー。中国戦では2ゴールを挙げた。今後レギュラーの入れ替わりはあるのか。今回同じポジションで出場した大橋祐紀、古橋亨梧も含め、今後の日本代表の1トップ事情を福田正博氏に解説してもらった。
【中国戦で価値ある2ゴールを決めた小川航基】
サッカー日本代表はW杯アジア最終予選の11月シリーズで、インドネシアを4-0、中国を3-1で下した。この2試合では、1トップに注目した。10月シリーズまでのアジア最終予選4試合で1トップのスタメンを張った上田綺世(フェイエノールト)が、故障のために招集できなかったからだ。
攻撃陣の軸になる上田が不在のなか、両試合でスタメンに名を連ねた小川航基(NEC)が、期待に応える働きをしっかり見せてくれた。
サッカー日本代表のインドネシア戦、中国戦で、1トップとしてスタメン出場した小川航基 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る インドネシア戦ではゴールこそなかったものの、体を張ったポストプレーや守備での貢献でチームを助けた。中国戦では前半39分にセットプレーからヘディングで貴重な先制ゴールを奪うと、後半9分にもクロスボールを頭で合わせて2点目。これも中国が1点を返して息を吹き返しつつあっただけに、価値あるものだった。
9月のバーレーン戦、10月のサウジアラビア戦での途中出場から決めた2得点と合わせて小川はW杯最終予選で4得点。そのすべてをヘディングで決めたが、それだけが武器の選手ではない。
足元でもボールが扱え、右足でも左足でもシュートを打てる。DFラインの裏に抜け出す動きもできるし、体を張ったプレーも厭わない。なにより守備でガツガツと当たっていけるのがいい。
ヘディングに関しては身長186㎝を活かしてアジアでは際立つ武器になっているが、世界の屈強なDF相手にも同じようなプレーができるかと言えば、そこまでは望めない。ポジショニングや相手との駆け引き、動き出すタイミングで勝負しながらゴールを狙っていくタイプだ。これはサイズの大きなDFが揃うオランダリーグで、さらにブラッシュアップしていける余地が十分にある。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。