サッカー日本代表、バーレーン戦大勝の要因 だがこれで本大会の「予行演習」になるのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【森保式3-4-2-1の問題点】

 交代選手では伊東に加えて中村もよかった。4度ほどあった相手右SBとの1対1はほぼ完勝。後半36分にはこの日の5点目となる小川航基のゴールを演出している。縦に抜いて左足シュート。GKがセーブしたボールを小川が頭で押し込んだ格好だが、中村は三笘以上に見せ場を作った。バーレーンは後半なかば過ぎから完全に集中力を切らしたので、額面どおりには受け取れないが、左ウイングとしてのレベルの高さを示す中村のプレーだった。

 正確には左ウイングバックである。前半37分までそうだったように、相手ボールになり、最終ラインに取り込まれたとき、ドリブル&フェイントに力を注ぐ余力はどれほどあるか。中村はそこで切れ味鋭いプレーを見せつけることができるか。

 あるいは相手のレベルが上がった時、最終ラインで中村はどれほどディフェンス力を発揮できるだろうか。ウインガーとしても、サイドバックとしても、物足りない選手に映る可能性がある。一見、超攻撃的に見えるサッカーは、ある瞬間、まったくそうでないサッカーに陥る。森保式3バック=3-4-2-1にはそうした問題点を抱えている。

 だが、中国戦に続き、このバーレーン戦でも、それは大きな問題にはなり得なかった。続くサウジアラビア戦、オーストラリア戦でもその可能性は高い。表面化せずに潜行する。相手のレベルが上がらない限り露わにはならない。

 その認識、自覚が森保監督にどれほどあるか。少しでもあるなら、予行演習にもならないサッカーをいまこの時期やっていないはずだ。「死の組」だと言って始まったにもかかわらず、超楽観的なサッカーをする。正しい時間の使い方をしているようにはまるで見えないのである。

 日本人選手の採点をするなら以下のとおりになる。

 鈴木6、町田6.5、谷口6、板倉6、三笘6.5、守田7.5、遠藤6、堂安5.5、鎌田7、南野5.5、上田7、伊東7、中村7、浅野5、久保6、小川6.5

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