三戸舜介が圧巻の2ゴールで難敵パラグアイを撃沈 新潟のサポーターに披露した成長の姿 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 でも、動きすぎて(他の選手と)ポジションがかぶったら、ちょっとやりすぎじゃないかなって感じますけど、今までやってきたなかでは、動き回っていても(他の選手から)何か言われることはないし、(大岩剛)監督からは『自由にやれ』って言われています」

 とりわけ好循環が生まれていたのが、左サイドの攻撃。三戸は斉藤光毅、大畑歩夢とともにうまくポジションを入れ替えながら、相手のマークを外し、スペースを作り出し、敵陣深くまで攻め入った。

 実際、三戸の先制点は、このトリオのコンビネーションによって生み出されている。

 とはいえ、これまでの三戸は、どちらかと言えばチャンスメーカーとしての役割が目立ち、決してゴールを量産するタイプの選手ではなかった。

 ところが、まるで優れたストライカーかのように、鮮やかに決めた2ゴール。いずれもフリーでパスを受けているとはいえ、シュートそのものは決して簡単ではなく、ゴール前での冷静さとプレーの質の高さが際立つものだった。

 まだアルビレックス新潟でプレーしていた昨年、5月度の月間ベストゴール(J1第13節、横浜F・マリノス戦で弾丸ミドルシュートをゴールネットに突き刺した)を受賞しながらも、「もっと(ゴールの)数を増やしたい」と話していた三戸。

 新潟を離れ、戦いの舞台をスパルタ・ロッテルダム(オランダ)へと移しておよそ半年が経った現在、有言実行のプレーを新潟のサポーターはもちろん、日本のサッカーファンに披露した格好だ。

 攻撃的なポジションを任される選手として、得点へのこだわりを口にしていた三戸は、昨年当サイトでインタビューした際、「正直、(J2から昇格して)J1になって、点を取るのは難しいなって、あらためて思いました」と苦労を口にしつつ、こんなことも話していた。

「もう入るときは入るんだな、っていう考えになっちゃってますね、今は。点は取れていないけど、焦ってもしょうがない。入るときは入るだろうって」

 入るときは入る――。

 オランダで成長を続ける小さなヒーローの活躍を見ながら、そんな言葉を思い出した。

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