元日の日本代表戦で浮き彫りになった「J1の空洞化」多様化するトッププレーヤーへの道のり (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 同じことは、高卒即海外という道を選択する選手にも言えるのかもしれない。

 昨年度の全国高校サッカー選手権大会で活躍した福田師王は神村学園高卒業と同時に、Jクラブを経ずに渡独(ボルシアMG)。実際にプレーするのはセカンドチームとはいえ、実戦経験を重ね、ゴールを重ねている様子は日本にもニュースとして伝わってくる。

 同じ神村学園から今年も吉永夢希が高卒即海外(ゲンク/ベルギー)の道を選択したが、福田の影響があったことは想像に難くない。

 福田にしろ、吉永にしろ、J1クラブからも引く手数多だったはずだが、すぐに試合に出て実戦経験を成長につなげたいと考えるならば、賢明な選択ということになるのだろう。

 おそらくサッカー選手を夢見る子どもたちの多くにとって、「海外(=チャンピオンズリーグ)」と「日本代表(=ワールドカップ)」が二大目標だろう。だが、その目標達成のためのステップとして、J1は必要な過程ではなくなりかけているのかもしれない。

 現在のJ1は、20歳前後の選手がすぐに試合に出られるほどレベルが低いリーグではない。

 さりとて、さまざまな意味でヨーロッパと肩を並べられるほどにはレベルは高くない。

 言い方は悪いが、海外や日本代表を目指す選手にとっては、使い勝手の悪いリーグになってしまっているのだろう。

 J1はいかにして自らの存在価値を生み出すべきなのか。

 新戦力の台頭と日本代表の選手層の厚さを頼もしく感じると同時に、そんな課題について考えさせられた新年最初の代表戦である。

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