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トルシエ監督が奇策に出た日韓W杯のトルコ戦。戸田和幸は「今だから言えるが、自分を代えればよかった」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

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 日韓W杯グループHを首位で通過した日本の、決勝トーナメント1回戦の相手はグループC2位のトルコと決まった。

 W杯初勝利を挙げ、グループリーグ突破を果たし、チームに課せられ、選手たちも自覚していたミッションはともにクリアした。ここからは一発勝負のトーナメント戦となるが、戸田和幸はチームが非常に落ちついていることを感じていた。

「グループリーグを突破した達成感があったと思いますし、自信もついたと思います。だからといって、(チーム内に)緩んだ空気はなかったですね。妥協なく、真っ直ぐにさらに上を目指す感じで、雰囲気はとてもよかったと思います」

 チームは戦いの舞台となる仙台に移動した。試合前のミーティングが始まり、そこで発表されたのは、グループリーグとは異なるシステムとスタメンだった。それまでのシステムは3-4-1-2だったが、その日は3-4-2-1に変更。西澤明訓の1トップ、その下に三都主アレサンドロと中田英寿が配置された。

「試合に向かう準備段階で、その起用について選手は知らなかった。試合前のミーティングで初めて聞いたんで、全員びっくりしていましたね。ある意味、こっちがサプライズ的な感じでした。

 アレックス(三都主)の左サイドでのスタメン起用は驚きでしたけど、親善試合でもプレーしていたので、なくはないですし、それまでの代表活動のなかで左にアレックスを置いてもいけると考えたのかもしれない。あとは、西澤さんのコンディションがどうだったのか、というのはありましたけど、これは監督の決断ですからね。この時には代表チームのメカニズムが出来上がっていたので、選手を入れ替えてもいけると思ったのではないでしょうか」

 だが、この"奇策"は吉とは出なかった。

 雨のなか、日本は前半12分にCKから失点。負けたら終わりのトーナメント戦でいきなり追い込まれたが、戸田はこの時、まだ時間的には余裕があると冷静に考えていた。

「国際試合で先制されることはよくあることじゃないですか。確かに先に点をとられて全体的に空気が重くなってしまったけど、試合はこれからだ、と思っていました」

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