日本代表がW杯で番狂わせを起こす可能性は見えた。その確率を上げるための課題も鮮明になった

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 日本がブラジルとの親善試合に0-1で敗れた。

 キャプテンのDF吉田麻也が「実力差は点差以上にある」と話したように、内容的に見れば、力の違いを見せつけられた試合である。それだけに、この結果を健闘と評していいのかどうかはわからない。

 日本は1点しか失わなかったとはいえ、ブラジルの選手たちがゴール前で見せる、スピードとテクニックに優れた攻撃についていけないシーンは多かった。

「最初、(MFルーカス・パケタのシュートが)ポストに当たったシーンでやられていたら、流れが変わっていた」

 吉田は試合後、そう振り返っていたが、日本の守備が相手を完全に封じたというより、ブラジルのシュートミスに助けられた面が多々あったことも確かだ。

 しかしながら、日本とブラジルとの間に大きな実力差があることなど、端からわかっていたことである。

 それを考えれば、日本はプランどおりに試合を進め、最後まで勝つ、あるいは引き分ける可能性を残した状態で90分間戦えたという意味で、悪くない試合だったのではないだろうか。

日本はブラジル相手にプランどおりの戦いを見せたが...日本はブラジル相手にプランどおりの戦いを見せたが...この記事に関連する写真を見る 試合前日、吉田は過去にブラジルと対戦した経験を振り返り、こんなことを話している。

「早い時間に(得点を)とられるがケース多く、前半で決着する試合が多かった。こういうチーム相手に、どれだけ0-0(の状況)を長くするかが大事。粘り強く、仮に0-1になっても踏ん張って、1点をもぎとって勝ち点1をとる(引き分ける)サッカーもしないといけない」

 強豪相手に番狂わせを起こそうと思えば、早い時間に失点を重ねたのでは話にならない。そこから3点、4点と奪って逆転することなど、不可能に近いからだ。

 だからこそ、「0-0を長くする」ことが重要だったわけだが、決勝点となったFWネイマールのPKが決まったのは77分。日本は理想とする試合展開に持ち込んでいたと言っていい。

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