鎌田大地の傑出した力を引き出すには? 日本代表は4-3-3ありきでいいのか
6月2日、札幌。パラグアイ戦の日本代表で最も異彩を放ったのは、攻撃の主役になった鎌田大地だろう。4-3-3のインサイドハーフの一角に入って、自らも得点し、4-1の勝利に貢献した。フランクフルトでヨーロッパリーグ(EL)優勝に貢献したこともあってか、もともと泰然としたプレーに、重厚感が加わった。
「自分にとってはトップ下も、インサイドハーフも変わらないので、(パラグアイよりも)強いチームとやらないとわからないところはありますが、どちらがやりやすい、とかはない」
試合後、鎌田は飄々(ひょうひょう)と語っている。パラグアイ戦は、インサイドハーフでの起用になったが、戦術的に適応できる証拠を示した。
「珍しい」と本人が振り返ったヘディングは、逆サイドからのクロスにファーポストへ飛び込んだもの。また、堂安律がカットインした瞬間、インサイドを走り抜けてスルーパスを引き出し、エリア内でファウルを受けてPKを誘った。さらに、味方が奪い返したボールを田中碧に迅速に繋ぎ、ミドルでのトドメの一撃を促した。
インサイドハーフとして、「チームを動かす車輪」になっていた。
パラグアイ戦で多くのチャンスを創り出していた鎌田大地この記事に関連する写真を見る ただ、この一戦でカタールW杯に向け、「鎌田、インサイドハーフに名乗り」という流れを作るべきなのか?
パラグアイは、前半の半ばまでしぶとく抵抗したが、長旅と時差で動きは重かったし、試合の流れを読めるような選手もいなかった。プレッシングでは意地を見せ、敵陣で何度か日本のミスを誘発し、1点を返しはした。しかし、それが精一杯で、ボールを握って守備ラインを突破する攻撃は仕掛けられなかった。
「今日の試合のテンポでは、課題をあげるのは難しい」
森保一監督は、インサイドハーフを務めた鎌田の課題について聞かれた時、正直にそう答えている。
「鎌田はドイツの厳しいシーズンを戦い、ふだんどおりのいいプレーができていました。やっていることに自信を持っていて、攻撃を牽引してくれました。チームのために献身的だったし、攻守の切り替えの意識も強く、守備のところでも頑張ってくれて。チャンスメイクだけでなく、自分で決める、という志を持ってプレーしてくれました」
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