「日本のメキシコ戦敗北は必然だった」スペイン人指導者が警告 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

「鎌田はトップから中盤まで幅広く動いている。巧妙にボールを引き出し、中盤に数的優位を与えつつ、攻撃を展開してみせた。前半15分、鎌田が中盤でプレーを作って、原口元気までボールが渡り、横パスを出すと、鈴木はGKと1対1になったが、これはシュートを当ててしまった。

 その後も日本の攻撃はほとんどすべて鎌田が作っていた。特に遠藤との呼吸は合っていた。右サイドでボールを受け、左サイドを走る原口元気に展開したロングパスも極上だった。

 ところが、後半になって日本は再び主導権を譲り渡してしまったのだ」

◆「ミケル・エチャリのパナマ戦レポート」>>

 日本はメキシコのハイプレスを回避することで、チャンスを作り出していた。だが、メキシコの強度を増した攻守によって、ボールを握れなくなって、ラインが下がってしまう。すると、前線との距離が広がり、鎌田も孤立した。

「日本のプレッシング強度が下がってしまい、メキシコに凌駕された。ゴール前まで何度もボールを運ばれ、何本もシュートを浴びている。後半10分前後になると、失点の気配が濃厚に漂っていた。そして後半18分、ペナルティエリアでボールを運ばれ、ゴールエリアにまで侵入され、ラウル・ヒメネスにシュートを打たれている。守備は崩されており、必然の失点だ。

 その5分後には、あられもない失点を喫している。自陣で奪われたボールから、たった2本のパスで、あろうことかインサイドをイルビング・ロサーノに抜け出られてしまい、完全なGKとの1対1を決められた。一瞬の間に、ディフェンスのミスがいくつも重なっており、検証が必要なシーンだ。

 一番気になったのは、先制点を奪われる前からチームが活気を失い、勝利へのリーダーシップを感じることができなかった点だろう。また失点後、必要な反発力も見せられていない。2失点目は、その結実だったと言える。

 0-2とされて、日本はかろうじてリズムを取り戻したが、そこからの選手交代でまたしても流れを見失っていった。GKシュミット・ダニエルの好セービングがなかったら、瓦解していたかもしれない。交代出場の久保建英は、可能性を感じさせたものの、得点を奪うことはできず、流れを変えるには十分ではなかった」

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