森保Jが前半、苦戦した理由。順当勝利に潜む「非効率」と「浪費」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 そうした中で登場したのが久保建英(マジョルカ)だった。南野と交代したのは後半42分。ロスタイムを除けば、残り時間は3分というところで、である。
 
勝負が決してから登場したこともあるが、その力は圧倒的だった。こう言っては何だが、堂安、中島、南野、鎌田の比ではなかった。ひとりレベルが違うプレーを数分にわたって披露した。

 だが、その必要はあっただろうか。モンゴル戦では出場なし。このタジキスタン戦では3分プラスアルファ。そのためだけにマジョルカ島から呼び寄せた。20日にレアル・マドリードとのアウェー戦を控えている日本期待の18歳に、大移動を課した。キラリと光る期待どおりのプレーを見せられると、その監督の判断には逆に疑問が湧く。

 日本代表は来月11月にも大阪でベネズエラと親善試合を行なう。タジキスタンよりレベルはだいぶ上だ。海外組主体のメンバーをベストメンバーと言うなら、こちらの方がプレーの場としては適している。森保監督が描くベストメンバーを毎度、欧州から招集すれば選手は疲弊する。海外組がここまで増えたいま、代表監督に求められるのは、オールスターキャストを編成しないで試合に勝つことだ。いまこの段階では、それは十分可能だ。

 もしベストメンバーを編成するなら、もっといいサッカーをしなくてはならない。現状をひと言でいうなら中途半端。筆者には、3分強しかプレーしなかった久保が、浪費を象徴しているように見えてしかたがなかった。

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