変化は顕著。「大迫不在」で激増した森保ジャパンの攻撃パターンは? (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 所属クラブで活躍していることを条件に代表メンバーを編成するのが一般的な手法だとすれば、この"再生工場"的な起用方法は森保流だ。同時に、主力メンバーが固定化しやすい原因でもある。

 逆に、これまで森保ジャパンがBチームを編成する時に出場する機会が多かった伊東は、所属のヘンク(ベルギー)でレギュラーをつかみ、今季はチャンピオンズリーグにも出場中。その活躍と成長が認められ、スタメンを勝ち取った格好だ。

 実際、このモンゴル戦では右サイドからクロスを供給して3アシストを記録するなど、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍ぶりだった。もちろん相手がモンゴルだったことを加味する必要があるが、少なくとも伊東の活躍によって堂安の右ウイング固定化が崩れ始め、久保建英も含めた三つ巴のポジション争いが繰り広げられることになるはずだ。

 ただし、遠藤と伊東も基本的に永井以外はアジアカップ時のメンバーである。そういう点では、相手が格下であろうとも、公式戦では常にベストメンバーを編成するという森保監督のスタンスが変わりそうな気配はうかがえない。

 2022年の本番まで約2年半、森保監督がどのようにしてチームをフレッシュな状態に保ちながら強化していくのか。引き続き注視していく必要がありそうだ。

 そんななか、格下モンゴルに対してパーフェクトな戦いを見せた日本の攻撃には、あるひとつの特徴的な傾向があった。それが、多くのゴールに結びついたサイドからのクロスボール攻撃だ。

 これまで森保ジャパンの攻撃の柱となっていたのは、攻撃のスイッチを入れる縦パスにあった。これはポストプレーを得意とする大迫を生かす戦術であると同時に、森保ジャパンの攻撃のバロメーターでもある。

 しかしこの試合で1トップに入ったのは、スピードと裏への抜け出しが特徴の永井。モンゴルがディフェンシブな戦い方を選択することがわかっていただけに、注目ポイントはそこに絞られていた。

 そういう意味では、この試合の傾向を、同じく永井が1トップで先発した6月9日のエルサルバドルとの親善試合と比較すると、日本の狙いと修正点が見えてくる。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る