2019.10.11

右サイドの伊東純也が森保ジャパンの
攻撃のキーマンである理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 攻撃には本来3つのルートがある。左、真ん中、右。サイド攻撃はなぜ重要なのかを語る時、持ち出されることが多い理由である。サイドは真ん中と違い意図的に突くものであり、それを軽視すれば、3つのルートはわずか1つになってしまう。

 3つのルートが確保されているか否か。攻撃的サッカーは否かを語るうえで大きなポイントになる。たとえば、かつて「なぜバルセロナからルイス・フィーゴを獲得したのか?」と、当時のレアル・マドリード監督、ビセンテ・デルボスケに訊ねると、こう述べたものだ。

「これで、3本ある攻撃のルートの中でうちが弱かった、右からの攻撃が充実する。サッカーはより攻撃的になる」と。

モンゴル戦で3アシストを記録した伊東純也 2000-01シーズン。フィーゴを引き抜かれたバルサは、逆に右からの攻撃が弱体化。攻撃的サッカーを看板にしていたその色が褪せることになった。バルサからレアル・マドリードへ。これは禁断の移籍と言われる。宿命のライバルである両チームを渡り歩くことは御法度とされるなかで、フィーゴは電撃的に移籍した。その年のバロンドールを獲得した選手が、だ。

 バルセロナ市内でフィーゴが経営していた日本料理レストランは放火にあった。レアル・マドリードの右ウイングとしてプレーしたそのシーズンのカンプノウでのクラシコでは、ライン際でプレーするフィーゴめがけて、豚の頭が投げ入れられている。その現場にいたので鮮明に覚えているが、フィーゴの移籍はそれほど物議を醸したものだ。

 それから19シーズン経過しているが、フィーゴに代わる選手は出現していない。右利きの右ウイングでバロンドールを獲得しようかという選手である。それには及ばないレベルでも簡単には発見できない。左利きの右ウイングはリオネル・メッシ(バルセロナ)、モハメド・サラー(リバプール)、アリエン・ロッベン(フィオレンティーナ)などザクザクいる。右利きの左ウイングも同様だ。クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)、ネイマール(パリ・サンジェルマン)、エデン・アザール(レアル・マドリード)、サディオ・マネ(リバプール)と、こちらも枚挙にいとまがない。