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長谷部誠後の日本代表キャプテン像。必要なのは闘将よりも頭脳派か (2ページ目)

  • photo by Getty Images

 森保監督の場合、チーム全体でバランスをとって、個々の能力が最大化できるようなチームづくりをしていると私は考えている。招集した選手それぞれの能力が生きるかたちをどう監督として見出すか。11人が自分の長所をフルに出せたら、それは足し算になるが、全員が自分の苦手なことばかりを一生懸命やり始めたら、それはチームの総合力がダウンすることになる。現役時代、「かじ取り」役としてバランスをとっていた森保監督らしいマネジメントと言えるだろう。私自身も、それが本当にチームで戦うという意味だと思っている。

 現在、日本代表のボランチは、先日のパラグアイ戦とミャンマー戦では柴崎岳、橋本拳人が先発で起用されていたが、これもある程度の補完関係、バランスを考慮しての配置だろう。

コパ・アメリカでキャプテンマークを巻いたのは柴崎岳だったコパ・アメリカでキャプテンマークを巻いたのは柴崎岳だった このボランチについては、長谷部誠が代表を引退したあと、若い世代も伸びてくるなかで、森保監督は柴崎を中軸に考えているのではないか。ロシアW杯の時に、柴崎がいいタイミングでレギュラーとなり、一部には柴崎で大丈夫なのか、と不安視する声もあったが、柴崎は圧倒的な存在感を示した。そのロシアW杯で森保監督はコーチとして一緒にやっていたこともあり、柴崎の持っている良さや、彼のパーソナリティーをしっかり理解している。だからこそ起用し続けているのであり、柴崎がここから経験を積んでいけば、長谷部とはまた違うリーダーシップを発揮してくれるはずだ。

 リーダーシップとは、「これ」と決まっているものではない。たとえば、長谷部が南アフリカW杯で日本代表のキャプテンになった当初、物足りなさを指摘する声もあった。しかし、立場が人を育てると言うように、長谷部は長谷部のよさを生かして、チームの中心になった。

 それまでの日本代表チームのキャプテンについては、いわゆる「闘将」を求める風潮が根強くあったと思う。それに対して長谷部はどちらかというと「優等生」なイメージで、グイグイ引っ張っていくタイプではない。チーム全員の話を聞いてまとめていく頭脳派だ。ドイツW杯のキャプテンだった宮本恒靖も近いと思うが、これからの時代のリーダーシップは、闘将よりも、そうしたバランス感覚やインテリジェンスがより求められるのではないか。もちろん、リーダーとはこういうものだ、と決めつけるべきではなく、いろいろなかたちがあっていい。なぜなら、チームの置かれている状況によっては、違うリーダーシップが必要になることもあるからだ。

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