なでしこ、フランスに惨敗。
リヨン所属の熊谷紗希だからこそわかること

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「結果としても内容としてもこんなんでワールドカップ大丈夫?って思われても仕方ない試合だった」

 絞り出すように長谷川唯(日テレ・ベレーザ)は答えた。それほど、4日に行なわれたフランスとの対戦は稀に見る惨敗だった。

試合中、何度も話し合いながら調整を続けた熊谷紗希(中央)と南萌華(左)試合中、何度も話し合いながら調整を続けた熊谷紗希(中央)と南萌華(左) 1-3というスコア以上の差を見せつけられた。もちろん、フランスは世界ランキング4位で6月に開催される女子W杯開催国として初優勝を狙っており、なでしこジャパンはその相手に主導権を握るという甘い考えを持つことなく、100%チャレンジャーとして挑んだ。

「うまくて速くて強い」――選手たちが評したフランスは想定していた以上の強さだった。とにかくボールを回せない。一度相手に渡ると一気にフランスお得意の両サイドからの攻撃が開始される。当然、そこは重点的にケアが必要と考えて、前からプレスをかけて対応していくはずだった。

 ところが、どれだけ間合いをツメても、それをあざ笑うかのようにフランスは難なくいなして日本ゴールを脅かした。その攻撃を日本は一度で切ることができず、クリアボールを拾われて2次攻撃を食らう。ゴールキックになってもそこからがパスがつながらず、あっという間に劣勢に逆戻り。そんな展開がほぼ90分間続いた。

 3分という試合開始早々の失点後、相手GKの治療中、ハーフタイム......ありとあらゆる時間で選手たちは何度もピッチ上で話し合う。しかし、最後まで難局を打開することはできなかった。90分通して修正し切れなかったのは久しぶりのことだった。

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