プロ1年目で日本代表デビュー。フロンターレの守田英正とは何者ぞ? (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― ふたりの前に位置し、中盤のトライアングルを形成している中村憲剛選手は、どのような存在ですか?

守田 プレーに関して言えば、あのスルーパスは誰も太刀打ちできないですよね。そこには悠さんとの関係性もあると思いますけど、本当にすごいですよね。

 でも、それ以上に一緒にプレーするようになって驚いたのが、憲剛さんは「プレーのキャンセルができる」ということ。自分がボールを受ける前には、チラッと周囲の状況を確認しているんですけど、数秒経てば、その状況は変わっているもの。でも、憲剛さんはそれすら瞬時に把握して、誰がどこにいるかをわかったうえで、直前に考えていたプレーをキャンセルすると、違う選択肢でボールを通してしまえる力がある。

 覚えているプレーで言えば、(J1第17節の)V・ファーレン長崎戦。悠さんに背中を向けながら出したパスはヤバかったです。得点にこそならなかったですけど、あのプレーは憲剛さん以外にはできないと思う。僕もそうしたパスを出したいなと思って実行しようとすると、途中でやめることができないというか。パスを出した後に相手に引っ掛けられて初めて、「やってしまった」ってなるんですよね。

―― その中村選手からは、どんなアドバイスを受けているのですか。事前に、中村選手から話を聞いているだけに、『アンサー』みたいになって申し訳ないですが(笑)。

守田 これは当たっていないとまずいですね(笑)。でも、憲剛さんには自分から話を聞きにいくことも多いんですよね。その時々で言ってくれることは違うのですが、よく言われるのは、「自分からプレースピードを上げすぎたり、相手陣内に入りすぎたりしない」ということ。「一歩、二歩下がるだけでも、安心してボールを持てる。その一歩を疎(おろそ)かにすれば、相手のプレッシャーを受けてしまう」とも教えてくれました。

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