加茂更迭から歓喜の瞬間まで。山口素弘が語るW杯予選「特殊な2カ月」
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『ジョホールバルの歓喜』から20年。
激闘の舞台裏を今、改めて振り返る(2)
――山口素弘編
『ジョホールバルの歓喜』から20年。あのときのW杯アジア最終予選は、最初から最後まで"異様"な空気に包まれていた。ここ最近のW杯予選とは違って、息苦しいほどの緊張感があった。それは、ピッチに立つ選手だけでなく、見る側も同様だった。その壮絶な予選の実態について、当時日本代表の中心選手だった山口素弘氏に語ってもらった――。
◆(1 )岡野雅行編はこちら>>
――『ジョホールバルの歓喜』から20年が経ちました。あの激闘のW杯アジア最終予選について改めて振り返ってほしいのですが、予選に入る前はどんな気持ちでしたか。
「(予選に向けては)ワクワクしていましたね。『いよいよだな』という期待感がありました」
――W杯に行ける、という手応えは予選の前からありましたか。
「手応えよりも、『W杯に行かなければいけない』という使命感のほうが強かったですね。フランスW杯のあとは、2002年の日韓共催によるW杯開催が決まっていました。それで、開催国で初出場というのは前例がないということもあって、その前に『(W杯に)出場しなければいけない』という論調がすごく大きかったですから。それに、『ドーハの悲劇』となった前回予選でもあと一歩のところで出場を逃していましたからね」
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