おめでたいぞ、ハリル。ブラジル戦の真実は「大人と子供」の前半にあり (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 3失点目は、目的が見えない久保の横走りドリブルに端を発していた。もともと総合的なポテンシャルはそう高くない。右に適性があるとも思えない。彼もまた、あるとき脚光を浴びてスタメンに抜擢されたが、そのときの貯金はもはやない。

 スタメンで起用されたほとんどの選手に物足りなさを感じるのだ。ハリルホジッチは、「後半の戦いには満足している」と述べた後、「7~8カ月準備期間がある。アルジェリアで成し遂げた結果(本大会ベスト16)を再現してみせる」と、胸を張った。だが「7~8カ月では足りない」が、こちらの印象だ。

 A代表がフルメンバーで戦う試合は、あと3試合(ベルギー戦と来年3月に行なわれる1試合。そして来年5月末の壮行試合)だ。ブラジル戦はハリルホジッチが就任して32試合目なので、現在は35分の32が経過した段階にある。まさに大詰めを迎えているのである。今後、大きな変化は望めない状態。ここに最大の問題点がある。

 そもそもなぜ32試合目でブラジルと戦うのか。33試合目でベルギーと戦うのか。世界を代表する強者と戦うなら、それは35試合の前半、せいぜい20試合目までに行なっておくべきなのだ。そこで目にとまった問題点を、任期の後半で修正する。これが、2018年6月から逆算した強化の正しいプロセスである。

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