ベルギー戦で試された「なでしこの3バック」で見えてきたもの (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 このように、高倉監督の目指す"ポジションのないサッカー"の片鱗が形作られる場面も確かにあった。しかし、前半30分を過ぎる頃には最後の1本、バイタルでの脅威になる1本が全く通らなくなっていた。

 後半に入ると、状況が一変する。ハーフタイムで修正を図ったベルギーが攻勢に出た。日本は左サイドの最終ラインに鮫島彩(INAC神戸)、中盤に佐々木繭(ベガルタ仙台L)を投入。前線には菅澤優衣香(浦和レッズL)を送り出し、メンバーを代えての3バックにチャレンジしたが、ポロポロと3バックのリスクの部分が現れてきた。もちろん、それも折り込み済みではあるが、実戦は初めてのこと。次々と起こるピンチをいなしながら、懸命に対応していく。トップのケイマンの突破には中里、鮫島、熊谷とで囲い込み、ファンゴルプの走り出しには高木が目いっぱいに足を伸ばした。

 攻撃の形が作れないまま時間は流れたが、69分、ついに菅澤がベルギーゴールをこじ開ける。籾木結花(日テレ・ベレーザ)の蹴ったFKのクリアミスを見逃さなかった菅澤が、左足を振り抜いた。ところが、その3分後、ケイマンに右サイドを破られ、走り込んだファンゴルプに頭で合わせられ、すぐさま同点。3バックのリスクを痛感する失点であるとともに、この時間帯の反撃は何が何でも押さえなければならない課題のひとつだった。

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