ポルトガルに完勝。サブ組が示した「なでしこ本来の姿」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ゴールを挙げた横山は、この試合がなでしこ初出場。もともとは同時期にスペインで開催されていた、ラ・マンガU-23女子国際大会への招集が決まっていたが一転、なでしこ初選出となった。

 突然の知らせに驚いたというが、「このチャンスを掴みたいと思った」と振り返る。力強いドリブル、軸のブレないシュート力が武器の21歳。得意とする「ターンからのシュートでゴールを決めたい」という言葉通り、左サイドからパスを受けた横山は、反転して思い切り右足を振りぬく、鮮やかなミドルシュートでゴールを奪った。

 しかし、本人は冷静に初ゲームを受け止めている。

「緊張はなかったといえばウソになる。守備もまだまだ。やっとスタートラインに立った感じです」と今一度気持ちを引き締めた。

 そして、"格下相手に快勝"と言われる試合の裏側には、ある想いがあった。

 デンマーク戦の敗戦にショックを受けていたのは、決して主力だけではない。宇津木瑠美(モンペリエHSC)は北京オリンピック前からのなでしこの常連である。ボランチ、CB、SBと試されたポジションは計り知れない。なでしこには欠かすことのできないユーティリティプレイヤーである。

 日ごろから「サブメンバーの気持ちは私が一番理解できる」と、率先してサブ組を牽引してきた。もちろんサブ組に甘んじている訳ではないが、チームに自分のような役割も絶対に必要だと、主力組と同じ熱意を持って、サブ組を鼓舞する数少ない選手であり、常に"自分に何ができるか"を追求しているのが宇津木だ。

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