2014.05.23

【なでしこ】決勝進出。挑戦者として臨む澤穂希の「進化」

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 まだ日差しの残る17時15分、32℃の暑さを残したピッチでその戦いは始まった。

 佐々木則夫監督は、大儀見優季が抜けたトップの穴に川澄奈穂美を上げて、髙瀬愛実と組ませ、これまで中央に据えていた宮間あやを左へ、ボランチに澤穂希、阪口夢穂、右に中島依美を配し、攻撃力をキープしようとした。

約2年ぶりのゴールを決め、中国から先制点を奪った澤穂希 前半5分、いきなりビッグチャンスが訪れる。中島からのロングフィードを相手DFがクリアミス、すかさず髙瀬が奪ってゴールを狙うが、惜しくもサイドネットを揺らす。

 続く8分には宮間から宇津木瑠美、川澄と連携を見せるもここは中国DFがクリア。21分、クリアボールを拾った澤が落としたボールを宮間がミドルシュート。ミートはしなかったが、相手を振り切る日本らしい連係プレーだった。

 立ち上がりこそ日本の猛攻にバタついた中国DF陣だったが、中盤に差し掛かる頃には落ち着きを取り戻し、高さと組織力を揃えた最終ラインはことごとく日本の攻撃を跳ね返していく。さらに、スピードのある右サイドのMFシュー・ヤンルの動きを捕まえられず、再三カウンターを食らうも、岩清水梓と川村優理らを中心に、日本の最終ラインもしっかりとケアする。

 互いに決め手を欠く展開を動かしたのは澤だった。51分、左コーナーキックのチャンスに、ニアサイドの角度のないところから澤が頭でねじ込んだ。奇しくも2011年のワールドカップ優勝を引き寄せたゴールと同じ位置。

「いいボールが来たので合わせただけ」と言いながら、「今日は決めるって言ってたので」と有言実行のゴールだった。

 キッカーの宮間も、「(澤)一本狙いだった。頭で決めたこのゴールは彼女(澤)の進化です」とベテランが見せた体を張ったゴールに誇らしげだった。