2014.05.14

サプライズ選出の大久保嘉人、ザックはこう使う

  • 飯尾篤史●文 Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ブラジルW杯に臨む日本代表のメンバー発表で、FW大久保嘉人の選出に沸き、納得したのは、何も川崎フロンターレのサポーターだけではないはずだ。

 川崎に加入してからの1年半、チームとサポーターにとってはいつだって頼もしく、相手チームとそのサポーターにとっては、常に脅威の存在であり続けた。昨季は26点を奪ってJ1得点王に輝き、今季も第13節終了時点(AFCチャンピオンズリーグ出場の川崎は12試合消化)で、日本人トップの8ゴールをマークしている。

 ゆえに、大久保の選出は、本来ならば、驚きに値しない。

代表入りへ、懸命にアピールし続けてきた大久保嘉人。 それが今回、本人も言う「サプライズ」として映るのは、ザックジャパンに招集されたのが、2012年2月のアイスランド戦(3-1)の、1度しかないからだろう(それも、大久保の出場は前半のみ)。

 ザックジャパンには、攻守に渡って細かな約束事があるため、指揮官は今回の選考に限らず、これまでも「積み上げ」を重視したチーム作りを進めてきた。特にW杯予選が始まってからはメンバーが固定され、新戦力が食い込む余地がほとんどなかった。

 W杯予選とコンフェデレーションズカップが終わった昨年8月以降は、柿谷曜一朗、大迫勇也、森重真人、山口蛍、青山敏弘、豊田陽平、齋藤学らにもチャンスが与えられたが、彼らは皆、若手中心で臨んだ昨年7月の東アジアカップのメンバーである。つまり、8月以降に出番を与えられた新戦力は、約10日間の東アジアカップの合宿中に、チーム戦術をみっちりレクチャーされた選手たちだけなのだ。

 だからこそ、その「積み重ね」に反して大久保が選ばれたのは、サプライズだった。