【日本代表】吉田麻也「五輪を経験してザックジャパンの強さが身にしみてわかった」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 吉田がザックジャパンに招集されたのは、昨年1月のアジアカップだった。ヨルダン戦で起死回生の同点ゴールを決め、カタール戦では退場を喫した。吉田自身、さまざまなことを経験する中で、チームは見事に優勝を果たした。あれから1年7カ月、チーム結成からは2年が経過しようとしているが、チ-ムはどう成長しているのだろう。吉田が語る。

「ひとつは、2年間もほぼ同じ選手でやってきているので、守備の意識ややり方が浸透し、安定してきました。もうひとつは、攻撃の手数がだいぶ増えたなと思いますね。それは、チームでやるべきプレイがあって、そのうえで本田(圭佑)さんや(香川)真司ら(欧州の)高いレベルでプレイしている選手が、チームにいろんなものを還元してくれているからだと思います。しかも今は、ほとんどの選手が欧州でプレイするようになって、個々のレベルが上がり、競争も激しくなってきた。だからこそ、チームの質も上がってきていると思う。ただ、チームのレベルが上がっているのは、それだけじゃないんですよ」

 吉田の言う「それだけじゃない」とは、どういう意味なのか。

「チームというのは、若い選手だけじゃダメ。中堅、ベテランというバランスが大事なんですよ。これは五輪のとき、特に韓国戦で感じたことなんですけど、あのときにヤットさん(遠藤保仁)がいてくれれば、と思うことがありました。(遠藤というベテラン選手の)存在の大きさを、ああいう劣勢の試合の中で身にしみて感じたんです。そういう意味でも、今のチームには中堅にハセさん(長谷部誠)や(川島)永嗣さんらがいて、ベテランのヤットさんや(中村)憲剛さんがいる。年齢的なバランスが非常によくて、海外組と国内組がうまく融合している。それがチームのレベル上昇をもたらし、今のチームの最大の強みになっていると思います」

 チームが戦力バランスを保ちつつ、着実に成長する中、自分自身の成長は、どう捉えているのだろう。

「まだまだです。でも、ロンドン五輪の経験は素晴らしかった。そこで得たものは、これから出てくると思いますが、同時にもっとレベルの高いところでサッカーをしたいし、しないといけないと思いました。僕はこれまで海外で揉まれてきたけど、まだまだ揉まれないといけないな、と思うんで」

 吉田はそう話すと、ニヤリと意味深に笑った。「(自分には)まだまだ、伸びしろがある」と語る吉田が成長することで、チームの守備はより強固となり、ザックジャパンはさらに進化していくのだろう。

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