【なでしこジャパン】 アルガルベ杯で見えた弱点。五輪メダル獲得へのポイントは?

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

2点差の前半、川澄奈穂美のゴールで1点差。その後も粘りを見せたなでしこジャパン2点差の前半、川澄奈穂美のゴールで1点差。その後も粘りを見せたなでしこジャパン 収穫と課題が複雑に入り混じった3ゴール、4失点の準優勝だった。

 3月7日、ポルトガルで行なわれたアルガルベカップ決勝のカードは日本vsドイツ。昨年のW杯で日本に敗戦し、ロンドン五輪出場を逃したドイツは、メンバーの若返りを図り、新たなチームとしてスタートしている。

 チーム構築の初期段階といえども日本が相手となれば、W杯での"借り"を返したい。立ち上がりからドイツはアップテンポで攻め立て、なでしこの十八番である連携プレイにブレーキをかけた。

 日本は前半に勝負をかけた相手の術中に完全にハマってしまった形になり、その結果20分には右サイドを破られて先制を許すと、その2分後にもCKからゴールを奪われ、完全に崩された。今大会初の立て続けの2失点。失点後のポジショニング修正の徹底は急務といえる。

 W杯以降、センターバックは岩清水梓、熊谷紗希のふたりが「鉄板」と思われていた。しかしポルトガルでは、調子の上がってきていた宇津木瑠美が積極的に起用された。

 フィジカル勝負のフランスのサッカー環境に身を置く宇津木は、フランスリーグのモンペリエでの2シーズンの成果を随所にのぞかせていた。特に1対1の強さはその最たるもの。ラインコントロールや守備面での駆け引きや間合いの取り方など、なでしこサッカー特有の"コツ"を掴みきれば、最終ラインのカラーも変化に富んだものになるだろう。

 そして攻撃面では両極端の現象が起きた。ひとつはプラス材料。前半で相手の勢いに押されて食らった2失点の後、これまでの日本を振り返れば、このビハインドを振り出しに戻すのは至難の業だったに違いない。

 その中で、1度ならず、2度もの同点弾で食い下がった日本の粘りは本物だ。ましてや相手は世界ランク2位のドイツ。もちろん本大会での対戦のような気迫はドイツからは感じられず、後半にはすっかり足が止まってしまっていたが、プレイの一瞬一瞬には真剣勝負が存在していた。

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