【追悼・張本勲】篠塚和典が思い出す安打製造機「ハリさん」の素顔 イチロー、自分とのバッティングの違いも語った (2ページ目)
【イチローとのバッティングの違い】
――張本さんは部屋でどのように過ごされていましたか?
篠塚 ハリさんは試合が終わって帰ってくると、素振りをしていました。確か8畳くらいの部屋だったと思いますが、敷いてあったふたつの布団をどかして、「これから素振りをするから」と言って、ひたすらバットを振ります。私はその横に体育座りをして、じっと見ているわけです。
20~30分の素振りを終えると風呂に行くのですが、若手はすぐには行けないので、私は少し経ってから風呂に入り、その後に食堂で食事をしました。食後はハリさんより先に部屋に戻らなければいけないので、食事中もずっとハリさんの動向を見ていましたね。
――常に気を張っていたんですね。
篠塚 荷物をどこに置くかにも気を遣いましたし、部屋のなかで動く時も、「すみません、お手洗いに行きます」と言ったりしていました。トイレは部屋のなかにあるんですけどね(笑)。何をするにしても、その都度声をかけていました。会話はほとんどなく、テレビを見るだけ。ハリさんが「そろそろ寝るぞ」と言ったら寝ていました。あと、ハリさんはけっこう読書をしていましたね。
――張本さんから、バッティングについてアドバイスをもらうことはありましたか?
篠塚 当時は選手が選手に教えることはまったくありませんでした。「見て盗め」という時代でしたから。ハリさんはバットの使い方が独特なんです。バットのヘッドを一度後ろに落としてから振り出すんですよ。ボールをとらえる確率を上げるため、早めにバットの面をボールに向けていたんだと思いますが、あれだけヒットを打った方ですし、勉強になりました。
――安打製造機といえばイチローさんのイメージも強いですが、張本さん、篠塚さん、イチローさんのバッティングにはどのような違いがありますか?
篠塚 ハリさんは体勢を崩しながら打つイメージがないんです。私やイチローは体勢を崩しながら打つことも多いのですが、そこが一番の違いじゃないですかね。ハリさんは下半身がどっしりとしていて粘れますし、何よりも腕の使い方がうまかった。足もかなり速かったですし。
――篠塚さんとイチローさんは共通点が多い?
篠塚 とんでもないボール球を打ったり、ワンハンドで打ったり、インサイドにきたらしっかりと引っ張ってホームランを打ってみたり。そういった部分は似ているかもしれません。
2 / 3

