【プロ野球】落合博満がコーチに招いた天性のバッター 同期の松永浩美に「このままでは勝てない」とスイッチヒッター転向を決意させた男 (2ページ目)
【真面目ゆえに大成できなかった部分も?】
――石嶺さんは長打力があって勝負強いバッターでした。走攻守の三拍子がそろっていた松永さんとはタイプが異なりますが、いい関係性を保つという意味ではよかったのでしょうか?
松永 大きかったと思います。同じタイプのバッターだったら毛嫌いしていたかもしれません。それぞれが違う色を持っていたことがよかったんじゃないですかね。ポジションも、自分が内野で石嶺が外野(またはDH)だったので競合することもなかったです。
私が彼に一目置いていた部分は、決して音を上げないことです。プロ1年目、彼はキャッチャーだったこともあってキャンプでかなり厳しい練習をしていたのですが、同期の選手たちがギブアップするなか、彼は絶対に音を上げなかった。そこに関しては自分も似たタイプなので、「負けていられない」とライバル心が芽生えたんです。
――普段はどういう関係でしたか?
松永 プライベートでは食事に行くことはなく、ちょっと距離を置いたライバルという感覚でした。性格が違っていたのもよかったのかもしれません。ひと言で言えば、石嶺は大人(笑)。彼が私みたいにズバっとものを言う性格だったら、おそらくケンカになっていたはずです。
あと、彼はお酒が大好きでした。一度、一緒に飲みに行ったことがあるのですが、飲んだら人が変わるんですよ(笑)。彼の地元の沖縄はお酒の強い人が多いじゃないですか。お酒が入ると饒舌になるんですけど、朝まで飲んでも平気でしたね。
――そんな性格が、プレーに表れることもありましたか?
松永 石嶺は、もう少しくだけた性格だったらケガをしなかったかもしれません。真面目だと、どうしても無理をしてしまうことがありますから。私なんかは、よくも悪くも"抜く"ことを知っているんです。石嶺にもそういう部分があったら、キャッチャーとして歴代トップ3にも入れる選手になっていたと思いますよ。それくらい潜在能力が高かったです。
半月板が悪くてキャッチャーを断念し、DHや外野で出場していましたが、やっぱりキャッチャーとして大成してほしかったです。もったいなかったですね......。石嶺はバッティングの技術が高かったですが、膝の状態がよければ、もっといい成績を残せたかもしれません。もともとインローを打つのがうまかったのが、悪化してからはインローが弱点になっていましたから。
――確かに、体をクルっと回転させて打っていた印象です。
松永 それほど体は大きくないですが、体の使い方がうまいんです。でんでん太鼓みたいに動かしていたイメージです。体をコマのように回転させ、腕の使い方もうまいからインコースをさばけますし、アウトコースもしっかり打てる。バッティングに関しては天性のものがありました。
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