高木豊がセ・リーグのドラフトを3段階で評価 最高評価の2球団はどこか? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

◆広島【△】

 1位指名を公言していた宗山塁(内野手/明治大)を外し、右のスラッガー候補・佐々木泰(内野手/青山学院大)を指名。2位は奪三振能力に優れた左腕・佐藤柳之介(投手/富士大)、3位は将来性が高く評価される右腕・岡本駿(投手/甲南大)を指名した。

「広島にはチャンスメーカーは多いのですが、ポイントゲッターが足りません。中軸を打てるようなバッターが欲しかったんでしょう。そういう意味での佐々木の指名だったと思いますが、現段階では確実性に欠けますし、特にインサイドに課題が見えます。伸びしろは十分だと思いますが、まずはそこを克服していくべきでしょうね。

 2位の佐藤と4位の渡邉悠斗(内野手/富士大)には注目しています。佐藤はいい真っすぐを投げますし、三振を取れるのが魅力ですよね。渡邉は力のあるバッティングをしますし、広角に打ち分ける柔軟性も兼ね備えています。広島は左バッターが多いので、佐々木や渡邉といった右の強打者がオーダーに入ってくるようになるといいですね。

 ただ、全体としてはポテンシャルを重視した指名だったような気がします。先ほどお話した佐々木の課題の克服も含め、広島の育成力に期待したいところです」

1位 佐々木泰(内野手/青山学院大)

2位 佐藤柳之介(投手/富士大)

3位 岡本駿(投手/甲南大)

4位 渡邉悠斗(内野手/富士大)

5位 菊池ハルン(投手/千葉学芸高)

◆ヤクルト【◎】

 最速159キロの剛腕・中村優斗(愛知工業大)の単独指名に成功。2位で指名したモイセエフ・ニキータ(外野手/豊川高)は、バットコントロールにも長けたスラッガー候補。3位には、リリーフで期待できる即戦力左腕・荘司宏太(投手/セガサミー)を指名した。

「ヤクルトの補強ポイントはピッチャーでしたし、中村を単独指名できたのは大きいです。金丸や宗山を指名したかったんでしょうけど、ここ数年のくじ運の悪さも考慮してか、戦略が功を奏しましたよね。中村は馬力もあるしマウンド度胸もありますし、先発でも抑えでもいけると思います。1年目からどれぐらい活躍してくれるか楽しみなピッチャーです。

 2位のモイセエフ・ニキータは、来季のオフにメジャー移籍が噂される村上宗隆が抜けることを想定し、その穴を埋める存在として白羽の矢が立った形ですね。ただ、パワーもコンタクトも悪くないのですが、今のままでは難しい。すごく伸びしろは感じるので、いかにプロのスピードに慣れて足りないものを吸収していけるかでしょう。

 それと、ヤクルトは左ピッチャーが不足しているので、即戦力の荘司を指名できたのも大きい。全体としてチームの足りない部分を埋めるいいドラフトだったと思います」

1位 中村優斗(愛知工業大)

2位 モイセエフ・ニキータ(外野手/豊川高)

3位 荘司宏太(投手/セガサミー)

4位 田中陽翔(内野手/健大高崎)

5位 矢野泰二郎(捕手/愛媛マンダリンパイレーツ)

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