【日本シリーズ2024】何かがおかしいソフトバンク 26イニング連続無得点よりも気になるリリーフ陣への違和感
ゲームセットからわずか23秒後、ソフトバンク・小久保裕紀監督は報道陣が待ち構える一塁側ダグアウト裏のミラールームに姿を現した。
小久保監督はレギュラーシーズンでも試合終了直後に取材対応をするのだが、日本シリーズ期間は普段よりもダグアウトから近いところに取材場所が設定されていたため、おそらく"史上最速"に近いタイムで囲み取材は始まった。
最速158キロを誇るソフトバンクの尾形崇斗 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【今季初、本拠地での同一チーム3連敗】
「まあまあ、3つ負けられるなかで3つ負けてしまったんでね。もう、やるだけですよ」
ソフトバンクはまたしても敗れた。今季一度もなかった本拠地みずほPayPayドームでの同一チーム相手の3連敗を喫した。
この試合を前に寄せた拙稿には、ソフトバンク打線に本塁打が出るのがカギになると書いたが、一発どころかタイムリーヒットも犠牲フライも出なかった。地元・福岡での3試合は、第3戦の初回に近藤健介のタイムリーで挙げた1点のみ。26イニング連続無得点となり、1958年の巨人と並ぶ史上ワーストという不名誉な記録のおまけまでついた。
ただ、それでも小久保監督は報道陣の質問に、時折笑顔を交えて応えた。無理に怒りを押し殺すような感じでもない。だけど、努めて明るく振る舞おうとしているのは伝わってくる。一国一城の主である監督として、崖っぷちに立たされたなかでチームに何を求めるのか。下を向くことはない。自信を失う必要もない。堂々と次の戦いに向かっていき、あと2つ勝てばいい。そんなメッセージを、報道陣を通して選手たちに送っているようにも思えた。
この3試合、たしかに貧打は深刻だった。しかし打線は水物という。第5戦ではキッカケが生まれなかったが、第6戦になって突如火を噴くような攻撃を見せても何ら不思議でないのが野球だ。
ただ、このシリーズのソフトバンクは何かがおかしい。それは攻撃陣だけではない。投手陣、とくにリリーフ陣に違和感を覚える。
1 / 4
著者プロフィール
田尻耕太郎 (たじり・こうたろう)
1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。