【日本シリーズ2024】復活したDeNAの「お家芸」 オースティン、宮﨑敏郎が放った2発は最高の良薬
ホームランは力。ホームランは正義。ホームランは試合の流れを一気に引き込んでくれる最高の良薬。
10月30日、横浜DeNAベイスターズと福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズ第4戦。前日の桑原の攻守にわたる活躍で流れを掴んだベイスターズは、この日も終始試合の流れを離さなかった。
そこで出たのが、効果的な2発のホームランだ。
【負傷の4番が見せた執念の一発】
まずは4回。この日も足を痛めながら4番DHで出場したタイラー・オースティンがライトへ先制の一発。ベイスターズは過去の3度のシリーズも含めて、先取点を取れば一度も負けていないというジンクスが勇気を与える値千金のホームラン。
試合前には三浦大輔監督から「(痛めている足が)ダメだったら代えるぞ」と言われながら、オースティンは志願の出場。2回にはサードへの走塁の際に、痛めた足を気にするような素振りもあって肝を冷やしたが、このホームランではゆっくりとダイヤモンドを一周。チームにも個人的にも最高の結果となった。
「ぶっちゃけ、めちゃくちゃ痛いです」「もっと早く治るはずなのに、なんで治らないんだろうなあ......」と試合後に本音を覗かせたが、シーズン中から出場すればケガも負傷も顧みぬ全力プレーでチームを鼓舞してきたオースティン。「本当は全打席歩いて帰れるようにしたいんだけどね......」とこぼすほど身体は相当きついはずだが、勝利への断固とした決意を見せる。
「足の状態は正直よくないですが、チームのため、ファンのために持てる力をすべて出しきるつもりでやっています。過去2年間はケガをしてプレーできない悔しいシーズンを過ごしました。だから、今シーズンは絶対にやってやるぞ、全試合出場するんだという強い気持ちで臨んできました」
シリーズでは第2戦こそ欠場したものの、通算打率は.556と出れば結果を残すオースティンの存在がいるといないとでは打線の厚みがまるで違う。
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著者プロフィール
村瀬秀信 (むらせ・ひでのぶ)
1975年生まれ。神奈川県出身。茅ケ崎西浜高校野球部卒。主な著書に『止めたバットでツーベース 村瀬秀信 野球短編自撰集』、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』など。近著に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』がある。