【ドラフト2024】阪神が獲得したい地元の快腕 1位はアマナンバーワン左腕? 藤川球児二世?

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

チーム事情から見るドラフト戦略2024〜阪神編

 プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? 来季から藤川球児新監督となり、俄然注目が集まる阪神。王座奪還に向けて、獲得すべき選手は?

【アマ球界ナンバー左腕を指名するか】

 阪神が連覇できなかった理由を、こんなふうに言っている人がいた。

「幸せすぎたんだ。18年ぶりに優勝して、日本一まで達成した。みんなから祝福されて、オフはどこへ行っても、誰に会っても『おめでとう、よくやった!』と。次に来るのは、達成感よりも安堵感。『やれやれ、ひと息つくか......』って、そういうシーズンだったんじゃないかな。だって、大山(悠輔)にしても、近本(光司)にしても、去年はあれだけ牙をむいて向かっていたのに、今年はなんだか表情がやさしくなっちゃって。戦う男の顔じゃなかったもん」

 球場帰りの電車で、元プロ野球選手の独りごとみたいな言葉のなかに、意外と"本質"みたいなものが潜んでいたりするから油断できない。

 連覇こそ逃した阪神だが、チーム防御率は昨年よりもさらに良化して2.50。優勝した巨人の2.49とほぼ変わらず、12球団トップクラスのすばらしい成績である。

 ただ"実態"を見れば、中継ぎ、抑えでフル回転した左腕の岩崎優が来季34歳。ローテーションの一角として安定した制球力を発揮した西勇輝が来季35歳。

 ファームにも、来季以降に大きな期待が持てそうな若手が少ない。右腕で茨木秀俊(ファームで7勝4敗/防御率3.64)、左腕で門別啓(同4勝5敗/防御率3.96)ぐらいだろうか。いずれにしても、投手陣のテコ入れが急務だ。

 地元に金丸夢斗(神港橘→関西大/投手/177センチ・77キロ/左投左打)という超逸材がおり、見過ごすわけにもいかないだろうが、4、5球団競合の可能性もあり、すんなり1位ともいかない。

 ポイントは、ライバル巨人の出方にかかっているのではないか。チーム事情から、巨人は明治大の遊撃手・宗山塁を1位で指名するかもしれないが、もし金丸で来るなら阪神も指名しないわけにはいかないだろう。

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著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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