【巨人の新星】浅野翔吾は何番を打たせるべきか? 名コーチ・伊勢孝夫は「将来のビジョンが重要」と断言
4年ぶりのリーグ制覇を果たした阿部慎之助監督率いる巨人。世代交代が進むなか、8月中旬からスタメンに名を連ねたのが、プロ2年目の19歳・浅野翔吾だ。今は"プロに慣れるための修行期間"とはいえ、近い将来、巨人を引っ張っていく存在になっていかなければならない選手である。はたして、才能を開花させるために必要なことは何か? 野球評論家の伊勢孝夫氏に聞いた。
プロ2年目の巨人・浅野翔吾 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【浅野翔吾のウリは?】
高卒新人野手の育て方──これはじつに難しい。その多くは"素材"にすぎず、一軍で使ったとしても結果を求めるのは酷だ。我慢して使い続けたい気持ちもわかるが、凡打する姿を見続けるにも限界がある。チームの勝利を目指しつつ、若手に出場機会を与えて経験を積ませる。これは言葉以上に大変な作業なのだ。
それは巨人2年目、浅野翔吾にも当てはまることだ。スラッガー候補として期待されるだけのことはあって、パンチ力はある。それに勝負強さも垣間見ることができる。なにより、2年目でありながら、ベンチのど真ん中に座って声を出している。この肝っ玉の大きさは、大きな武器だ。
ただ巨人は、競争相手が多すぎる。外野は丸佳浩が確定で、残り2つのポジションを長野久義、オコエ瑠偉、佐々木俊輔、萩尾匡也、そして外国人選手たちと争わなければならない。今季、外国人選手は固定できなかったが、好調なら残るポジションは1つしかないわけだ。
ここにどうやって食い込むか。足も肩も飛び抜けていいわけではない浅野としては、打撃でアピールするしかない。
「まだ19歳なのだから、二軍でじっくり鍛えれば......」という意見もあるだろう。しかし打者の場合、私はケースバイケースだと思っている。
プロの投手のスピードに慣れさせるだけなら、二軍で打席を積めば順応できる。しかしプロの変化球のキレや制球力に対応するには、一軍の投手相手に経験を積まなければならない。
若手選手が一軍の舞台に立つには、首脳陣に「使いたい」と思わせる"売り"を持たなければならない。浅野の場合、その売りはパンチ力のあるバッティングになるだろう。
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著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。