岡田彰布第一次政権を支えた阪神の元通訳が見た活躍する「助っ人」の特徴「馴染む努力が重要」 (4ページ目)
【甲子園が「世界の人気観光地」に?】
――昨年に復帰した岡田彰布監督は、18年ぶりのセ・リーグ優勝と38年ぶり2度目の日本一を達成しました。河島さんから見て、以前と変化を感じる点はありますか?
「僕が言うのはおこがましいですし、あくまで客観的に見た印象ではありますが、采配の落ち着きが増したように感じました。岡田監督のすごいところは、2005年にプロ2年目の鳥谷敬をレギュラーで起用し続けたように、不振に苦しんだ4番の大山悠輔や佐藤輝明、ルーキーの森下翔太などを使い続けたことにあると思っています。
ただでさえ、『なんであんなに調子の悪い選手を使うんだ』というファンの声が聞こえやすい球団なのに、耐えながら起用を続けられる。目の前の勝利が求められてもブレない。その姿勢は18年前にも見られましたが、より堂に入った印象がありますね」
――河島さんは2005年まで阪神に勤務された後、スポーツビジネスの分野でご活躍されています。昨年に日本一になった阪神の今後に期待することはありますか?
「ビジネスの視点で阪神のことを考えると、梅田と三宮を結ぶ阪神電車のちょうど真ん中に甲子園球場があって、試合がある日には沿線から3万人のファンが訪れる、という"究極のローカルビジネス"が成り立っているんです。本当にすばらしい球団のあり方ですが、すさまじい数のジェット風船が飛ぶアルプススタンドの風景を、アメリカの方に映像で見せるとかなり驚いてくれることもあります。
日本を訪れる外国の方も増えてきているので、彼らに向けて日本の野球文化を発信できたら、将来的には『世界の人気観光地』に甲子園球場をランクインさせることもできるかもしれない。収益が増加すれば、人気メジャーリーガーをチームに呼ぶこともできるようになるかもしれません。
これまで以上に、チームが成長していく可能性が秘められているように感じます。今季の阪神は連覇を目指すことになりますが、『球団の魅力を世界の人々に知ってもらいたい』という気持ちはずっと持ち続けています。
【プロフィール】
河島徳基 (かわしま・のりもと)
学習院大学経済学部卒業後、アメリカ・ウィスコンシン州の「UNIVERSITY of Wisconsin La Cross」のスポーツ科学大学院に進学し、ストレングス&コンディショニングコーチになるための科目を専攻。カリフォルニア州の「The Riekes Center」にてアスリートにトレーニングを教える仕事に従事後、帰国。パーソナルトレーナーの仕事を経て、阪神タイガースで通訳や営業の仕事に携わる。2005年に「(株)RIGHT STUFF」を設立し、現在は代表を務める。主にスポーツ業界に特化した人材紹介や、ビジネスとスポンサーマッチングビジネスを展開中。
著者プロフィール
白鳥純一 (しらとり・じゅんいち)
ライター。ソウ・スイート・パブリッシング所属。WEBサイト「キングギア」でのライティングをきっかけに取材活動を開始。スポーツの取材やインタビュー記事を中心に執筆を続けている。
【写真】実力派の野球美女たち。私服・ユニフォーム姿の厳選カット集(19枚)
4 / 4