ドラフト目玉の森木大智と9歳差。事実上の「引退宣告」を乗り越え指名を待つ"もうひとりの高知の剛腕" (3ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • Photo by Terashita Tomonori

 このナイアガラカーブのリリース時のイメージを、ボール1個分高い位置に変更した。すると、球速が120キロ前後から130キロ近くまで伸びたばかりでなく、ラプソード(ボールの回転数や回転軸、球速を計測するマシン)の測定で、昨年の3000回転を大きく伸ばし3400回転をマーク。2021年シーズン前に目標のひとつに挙げていた「空振りを取れる変化球」をフォークに続き手にした。

 ちなみに、この測定数値にはあるMLBスカウトも「MLBの投手でもカーブの回転数平均は3000台。3400回転というのはすごい数値です」と驚く。

 さらに今シーズン終盤には高知ファイティングドッグスOBでもある藤川球児氏(元阪神など)からも指導を受けた。「僕の感覚と藤川さんの感覚をすり合わせるようにして教えていただいた」という高めのストレートの投球術も習得。シーズン成績は39試合に投げ2勝1敗14セーブ、41回3分の1を投げて59奪三振。自責点は2点のみの防御率0.43。

「社会人の3年間はいろいろ考えて悩んでいたんですが、高知での2年間ではチームの勝利を最優先し、0で抑えることが確立できた」

 こうした積み上げは、2年連続最多セーブ、そして、じつに12年ぶりとなるリーグ後期優勝に大きく貢献する「圧倒的な」成績として成就したのである。

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