2021.04.24

日本の各球団が外国人選手を育成枠で獲得。先駆者・森繁和がその意図やからくりを語る

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

@森繁和インタビュー 後編

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 今季開幕時点のNPBには85人の外国人選手が在籍するなか、13人が育成登録だ。年俸240万~1000万円程度で日本に連れてきて、"助っ人"に育てようという流れは年々強まっている。

 出世株はソフトバンクの最強左腕、リバン・モイネロだ。2017年にキューバから育成選手として来日すると、過去2年続けて防御率1点台を記録。今季の年俸は1億8000万円(推定、以下同)に到達した。

育成枠から中日の守護神へと上り詰めたライデル・マルティネス(写真左)と森繁和氏育成枠から中日の守護神へと上り詰めたライデル・マルティネス(写真左)と森繁和氏  広島のヘロニモ・フランスア(4100万円)、巨人のC.C.メルセデス(4000万円)という両左腕も育成から戦力になった。こうした成功例を見てか、現在、DeNAは5人、ロッテは3人の外国人選手を育成枠で抱えている。巨人はドミニカ共和国でトライアウトを行ない、ホセ・デラクルーズ、フリアン・ティマという2人の16歳の野手を獲得するという野心的な挑戦を始めた。

「バッター目線で阿部(慎之助/二軍監督)が獲ったみたいだね。伸びる可能性はあると思うよ」

 2004年から中日でヘッドコーチや監督などを務め、渉外担当も兼任した森繁和氏はそう語る。

 外国人選手を育成で連れてきて、日本で育てるという方法を先駆けて導入したのが同氏だった。毎年オフになるとドミニカ共和国に渡り、年俸3000万円程度の"掘り出し物"を中南米で探すうち、育成枠で獲得するという方法に至ったという。

「ドミニカから年俸500万とか1000万で連れてきて、ファームで試合にどんどん出させているうちによくなる選手がいっぱいいた。日本の高校生でも、ちょっとした選手に契約金を3000万も出すだろ? だったらドミニカの選手を育成枠で連れてきて、日本で育てたほうが総合的に安くなる可能性があるんじゃないかという考えになったんだよ」

 2017年に育成枠でキューバから中日に加入し、守護神に成り上がったのが最速161キロ右腕のライデル・マルティネスだ。シンデレラストーリーの裏には、森氏の築いたパイプと慧眼がある。

「たまたまドミニカに行った時、パン・アメリカン(競技大会)という若い選手が出場している大会をテレビでやっていたのよ。そこでキューバ代表として投げていたのがマルティネス。当時は18歳か19歳で、152~153キロを投げていた」