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「本当によく酒を飲んだ」安仁屋宗八。
初めてオフに遊ばず防御率1位 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

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 今ではあり得ない、カード頭の第1戦に先発完投しての3連投。そんな大車輪の働きも、最大の武器であるシュートがあったからこそだろう。ただ、長嶋茂雄はその武器を狙いすまして打つべく、"陽動作戦"に出ていた。

「そういうところが、あの人はうまかったんですよ。動物的カン、いうんですか。でも、憎めないですもんね。打たれても、クソッ、悔しい、いうのがなかったですから」

 巨人ファンだった少年時代、ONから三振を取るのが夢だった安仁屋さん。もう一人、Oとの対戦はどうだったのか。左バッターでもあり、なかなか打ち取りづらかったことだろう。

「やっぱ、打たれましたね、長嶋さん以上に。何しろ、王さんには詰まってバットを折ってもホームランにされたんです、市民球場で。ポールいっぱいでしたけど、それでも入ってしまって。まあでも、王さんですから、これも市民球場のいいほうの思い出ですよ」

 通算119勝のうち、巨人戦で34勝。"巨人キラー"と呼ばれた安仁屋さんにすれば、ONとの対戦自体がいい思い出なのだと思う。その一方で、68年に挙げた23勝。自己最高の勝ち星だが、この年、外木場義郎(そとこば よしろう)さんも自己最高の21勝をマークしている。市民球場の思い出とは別に、両投手間にあったはずのライバル意識についても、ぜひ聞いておきたかった。

「外木場は僕が入団した翌年に入ってきて、初勝利がいきなりノーヒットノーラン。実際、僕はすごいライバル意識を持ちました。たぶん外木場もね、口には出さないけど、僕のこと意識しとったと思うし。僕も当時はね、『コイツがライバルじゃあ』言うてませんけど、自分が意識しとるいうことは、相手も意識しとるんじゃないかなあ、いう気はしてました」

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