ラミレスが持つズバ抜けた適応力。相手バッテリーに仕掛けた心理戦 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

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 2011年、ある雑誌の企画でラミレスにインタビューする機会があり、土井氏の言葉を直接投げかけてみた。

「キャッチャーの特徴を自分がよく理解していることもあるし、自分自身の長所と短所をよくわかっているからね。相手のピッチャーが自分の短所ではなく、長所のコースに投げてくるように、打席のなかでボールを待つことはある」

 ラミレスの言葉もまた、謎めいていた。自分の短所ではなく、長所に投げてくるようにするとは、一体どういうことか。相手投手からすれば、打者の得意なコースには投げにくいものではないだろうか。

「たとえば無死二塁で、普通の(右打ちの)バッターなら右方向を狙うよね。逆方向に打ったほうが三塁にランナーを進める可能性が高いから。ただ、そういう時でも自分は外の球を狙って打つのではなく、内側の球を待つ。なぜなら、相手は外にあまり投げられない。打者は右方向に簡単に打ててしまうからね。だからインサイドの球を待つとか、状況によって待ち方をいろいろ工夫している」

 配球に関するセオリーを紐解き、相手バッテリーと駆け引きを行なっていく。そうして自分の好きなコースに投げさせていくように仕向ける心理戦こそ、ラミレスの真骨頂だった。パワフルな打撃や、「アイーン」や「ゲッツ!」など本塁打を放った後のパフォーマンスでファンの人気を得ていた右打者は、その裏にクレバーな頭脳も併せ持っていたのだ。

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