日本ハムのオールド育成選手は野球漬けで「幸せ」だけど「嫌になる」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 BCリーグでは1年目から最速153キロを計測。ドラフト指名濃厚と見られたが、2018年ドラフトで指名漏れを味わっている。2年目には「NPBに行くだけでなく、即戦力として通用する力をつける」と意気込み、11勝1敗と圧倒的な成績をマーク。育成ドラフト3位で日本ハムに入団した。

 だが、NPBの高いレベルを肌で感じて、長谷川は「自分の取り組みが甘かったという思いもあります」と語る。

「BCリーグでも練習をしてきたつもりでしたが、まだまだ足りなかった。NPBは本当の野球漬けで、『二軍でもこんなに練習できるんだ!』と驚きました」

 NPBの壁に苦しんでいるわりに、その表情はすこぶる明るい。そんな印象を伝えると、長谷川はこの日一番の笑顔でこう答えた。

「めちゃくちゃ楽しいし、幸せですよ。1日が短く感じます」

 一方、樋口は身長168センチと上背はないものの、体重84キロと肉厚の強打者である。今年で26歳になる樋口にとっては、高卒ルーキーのように「まず慣れるところから」などと言う余裕はない。だが、樋口は自分の置かれた状況を冷静に見ている。

「年齢が高いと言っても、この世界(NPB)を一度も経験していないので。すでに入団している20歳の子でも、この世界を1~2年経験しているだけでも全然違う。だから若い子と比べても、自分はまだまだだと感じます。毎日、次から次へとやらなきゃいけないことが見つかって嫌になりますよ」

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