赤星憲広が阪神に働き方改革を提言。多忙なリリーフ陣に「有給休暇を」 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――加えて、63試合に登板した島本浩也投手、57試合に登板した守屋功輝投手の功績も大きかったと思いますが。

「もちろんです。昨シーズンは登板が1回しかなかった島本ですが、今シーズンは自信がみなぎっていましたし、あれだけ投げて防御率も1.67というのは見事です。一方の守屋は、勝っている時だけではなく、負けている試合でもすばらしい投球を見せていました。矢野(燿大)監督が2軍監督時代から目をつけていたそうですが、十分にその期待に応えましたね。

 新戦力が活躍するうちに、7月下旬に2軍に降格したドリスが再昇格して安定感を取り戻し、さらに層が厚くなりました。先ほど岩崎、ジョンソン、藤川の3人を"勝利の方程式"として挙げましたが、誰が投げても安心して試合を任せられるほど充実していたと思います」

――ここまでリリーフ陣が活躍した要因はどこにあったのでしょうか。

「それぞれ調整がうまくいったこともあるでしょうが、2年連続でゴールデン・グラブ賞に輝いた梅野(隆太郎)の貢献度がかなり高いと思います。リード面ではまだ課題がありますが、肩の強さはもちろん、ワンバウンドのボールを止める技術は、セ・パ12球団のキャッチャーの中でもナンバーワンだと思っています。

 阪神は、ジョンソンであればパワーカーブですが、フォークを決め球にするピッチャーが多いんです。例えば、ランナーが三塁にいて犠牲フライも打たせたくない場面では、落ちる系の変化球をどれだけ思い切って低めに投げられるかがカギになります。その点で梅野に絶大な信頼があったことが、チーム防御率が低くなった大きな要因だったことは間違いありません」

―― 一方で、今シーズンに登板を重ねたリリーフ陣の、疲労の蓄積が心配されるところだと思いますが。

「勤続疲労についてはリリーフ投手についてまわる部分ですね。今シーズンに頭角を現した島本と守屋も、周囲から見てわからない肩のだるさがあるかもしれない。仮に来シーズン以降も同じように投げられたとしても、50登板、60登板を何年か続けていくうちに疲労が溜まり、ケガをしてしまう不安はあります。

 私の現役時代に絶対的な守護神だった、久保田(智之)も『すごく体が強い』と言われていたのに、やはり投げすぎで肩を故障してしまった。藤川は特殊な例ですが、リリーフ陣の起用法は慎重になるべきでしょう」

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