赤星憲広が阪神に働き方改革を提言。
多忙なリリーフ陣に「有給休暇を」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

 今年の阪神の生命線になっていたのは、チーム防御率がセ・リーグでトップ(3.46)だった投手陣だろう。先発陣で10勝以上を上げたのは、オリックスからFAで移籍した西勇輝(10勝8敗)のみだったものの、強力なリリーフ陣がそれをカバーした。

 なぜ、リリーフ陣は好調を維持できたのか。その理由と共に、登板過多による疲労の蓄積問題などについて、赤星憲広氏が言及した。

今シーズン、チームトップの63試合に登板した島本浩也今シーズン、チームトップの63試合に登板した島本浩也赤星憲広から見た今季の阪神【投手編】(野手編はこちら)

――今シーズンの阪神は、投手陣の活躍が目立ちましたね。

「投手陣の活躍なくして、Aクラス入りはあり得ませんでした。まず先発陣に関しては、投球内容ほどの勝ち星には恵まれなかったものの、新加入の西(勇輝)の活躍は大きかったです。長いイニングを投げることができますし、1年間、しっかり先発ローテーションを守りました。投げるだけじゃなくて、けん制やフィールディングもうまく、苦しい時でも笑顔を絶やさず打者に向かっていく姿は、チームに刺激を与えたと思います。

 しかし、ほかの先発投手はさらなる頑張りが必要です。26試合の西に次ぐ25試合に登板した4年目の青柳(晃洋)は、試合を作れるようになって成長を感じましたが、来シーズンも1年を通してローテを守れるかは未知数です。チーム防御率がよかったとはいえ、先発陣は強化しないといけませんね」

――やはり、特筆すべきはリリーフ陣になるでしょうか。

「そこには文句のつけようがありませんし、阪神の最大の強みになっています。とくに新たな"勝利の方程式"となった岩崎(優)、(ピアース・)ジョンソン、藤川(球児)の3人については、心から『お疲れさまです』という言葉を贈りたいです(笑)。

 岩崎はシーズン途中まで防御率0点台でMVP級の投球を見せましたし、ジョンソンのパワーカーブは攻略法を見つけるのが難しいでしょう。そして、調子を落とした(ラファエル・)ドリスに替わって守護神を務めた藤川は、39歳という年齢で見事に役割を全うしました。ストレートのスピードが戻って被打率が低くなり、何よりケガをしないのがすばらしい。何年も第一線で投げ続けてきた疲労は確実にあると思うのですが、メジャーから日本球界に復帰してから年々よくなっています。本当に頭が下がりますね」

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