今井達也に見たクレバーさと変化。甲子園優勝投手から西武のエースへ (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • スポーツニッポン新聞社/時事通信フォト●写真

 ピンチでボールを置きにいってしまうのは、今井にとって去年からの課題だ。得点圏に走者を背負うと腕の振りが甘くなり、抜ける球が増えていく。新シーズンを迎えても、この点はまだ解消されていない。継続中の課題について、西口コーチはこう話した。

「ランナーが出たら、大事にいこうというところもあるんじゃないですか。コントロールに気をつけなければとかね。もちろん気持ちの部分もありますけど、普段どおりの腕の振りでどれだけ投げていけるかが大事になってくると思います」

 2016年夏の甲子園で優勝投手になり、今井にとってプロ入り3年目のシーズンが始まった。昨季から1軍で登板を重ね、まだ課題を潰している最中だ。プロでもトップクラスの球を投げている一方、勝てる投手として飛躍するには、実戦経験を積み重ねていくことが不可欠になる。

 そうした意味で、期待したくなる言葉がソフトバンク戦後に聞かれた。この日の収穫について質問されると、直前に「課題」として挙げたことを裏返して答えたのだ。

「満塁で今宮さんのところで真っすぐをあれだけ続けたのは、押すところは押して、引くところは引くというタイミングが自分のなかで『ここだ』というのがなくて、一本調子になってしまいました。真っすぐのサインに首を振って、スライダーをストライクからボールに投げて空振りを取れるようにならないといけないなと思いました」

 自分で課題を見つけられることは、成長していくために欠かせない第一歩だ。今井と話していると、そうしたクレバーさをところどころに感じさせられる。

 たとえば今季、カーブの球速を意識的に10km落として110km台にした。球速はストレートが140km台前半から150km台前半、スライダーは130km台前半から中盤、チェンジアップは130km台後半とスピード差がそれほどないため、カーブを遅くすることで緩急を使おうと考えたのだ。

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