2018.11.14

トライアウトで実現した運命の対戦。
鵜久森淳志「まさかここでも…」

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 全体6人目での板を終え、一足先に球場を後にしていた須田も、こう言葉を残していた。

「昨日の時点では2番目の登板と聞いていたんですが、今日球場に来てみると順番が変更されていて。朝、鵜久森と顔を合わせたときも『運命だな』と話していたんです。トライアウトで意識していたのは、『結果よりも内容にこだわりたい』ということ。公式戦では、チーム勝利が最優先で、走者の状況はこう、ボールは低めに......と様々なことを考えながら投げていましたが、今日はとにかく思いっきり投げてみようと思って臨みました。今日の対戦は、プロに入って初めて心の底から"楽しい"と思えた勝負でした」

 鵜久森は今年でプロ入り14年目のシーズンを戦い終えた。高校時代の恩師である上甲正典監督からは「プロ世界で15年は現役を続けなさい」と発破をかけられていた。天国に旅立った恩師と交わした約束まで、あと"1年"に迫っている。

「"細い"野球人生ではありましたけど、(日本ハム時代から現在まで)色々な方に支えられてここまでやることができました。(上甲監督との約束でもある)『15年続けたい』という思いは強くあります。

 けれども、続けられるかは自分で決められることではありませんし、今回のトライアウトを受験して、『今日の打席が最後になっても、ここでユニフォームを脱いでも悔いはない』と言えるくらいやり切れたとも思っています」

「まずは連絡を待ちたい」と語った鵜久森。同時に、前回のトライアウト受験の際は、終了から数日で連絡が届いたこともあり、「家族のこともあるので、獲得期限を意識しながらも、そんなに長くは待てないとも思います」と話す。

 前回のトライアウトで道を切り開き、「野球少年の気持ち」に立ち返るヤクルトでの3年間を得て、あらためて打席に立つ喜びを噛みしめた。待望の15年目のシーズンは到来するのか。

 そして、「オファーをいただいた先で、あと1、2年は必ず現役を続けたい。そうすれば、きっと野球人生がつながっていくと思うんです」と語った"盟友"との再戦は──。

"遅咲き"のスラッガーは両方の実現を願っている。

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