阪神ドラフト5位・谷川昌希を社会人時代に大変身させた元プロの3人 (2ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

 だが夏以降に調子を落とし、ドラフトでロッテに5位指名された有吉優樹とは対照的に調査書は球団からしか来ず、指名漏れとなった。このタイミングで山内が退任し、谷川は独り立ちを余儀なくされた。

 また、谷川とともに投手陣を支えていた寺岡寛治(今秋のドラフトで楽天7位指名)もBCリーグ・石川ミリオンスターズへ移籍し退社。チームの投手層が薄くなり、フル回転を察知した谷川は、自ら足を運んでさまざまな人物を頼った。

 まず、福岡市でジムを運営する小林亮寛(こばやし・りょうかん/元ロッテ)の元に通う回数を増やした。そこで、体の使い方・動かし方(エネルギーの伝え方)を学び、特に重心のコントロールに時間を割いた。

 体のケアに関しても、小林がロッテを退団後にアメリカ、台湾、メキシコ、韓国を渡り歩いた経験をもとに重要性を説いた。

「海外でやっていたときは、"助っ人"なのでどんどん起用されていました。でもそのなかで、"無理しながらも負担は最小限に"と、ケアは自分でしていました。これができなければプロでもやっていけません」

 この助言を受けた谷川は「状態が悪くなったときにケアに行くのではなく、いいときに行くようにしました」と、小林の紹介で佐賀県にある『鳥屋療術所』まで足を運んでケアに努めた。

 社会人選手にとって決して少なくない出費ではあったが、プロに行くための先行投資だと考えて、その腕に定評のある鳥屋仁のもとに足繁く通った。

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