貧打を変えた石井琢朗コーチの教え。カープ打線は7割の失敗を生かす (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 西田泰輔●写真 photo by Nisida Taisuke

100点満点」とはヒット、ホームラン。まさに最高の結果だが、どんな一流打者も必ず打てるとは限らない。むしろ振りにいって三振=0点に終わるケースは少なくない。ならば、プラス思考で最高の結果を求めて打席に立つのではなく、マイナス思考で入る。何も起きないとはなんなのか、一番やってはいけないことはなんなのか、考えて打席に立つことが大事になる。

「同じアウトひとつ取られるにも、簡単に三振する、簡単にポンとフライを上げるんじゃなくて、最低限、自分がをできるのか。たとえば、一死二塁で、サードゴロではなにも起きない。でも、セカンドゴロならランナーが三塁に進んで、次の打者のときにワンヒットはもちろん暴投で1点を取れるかもしれない。無死満塁だったら、ダブルプレーでも1点が入る。状況によっては、凡打でも点数が入るんだっていうところから、選手たちに説いていきました」

 打撃コーチ就任直後の15年オフ、秋季キャンプ。同年はリーグワーストだったチーム三振数を減らすためにも、石井は練習メニューのなかに、あえて"スイング練習"を積極的に組み込んだ。「1日800スイング」を基本に、「三振したら何も起きない」と選手に意識づける意味もあった。一方でミーティングでは、練習で目指すものと試合で実践すべきこと、その違いに関する理解を求めるため、選手には次のような言葉で伝えたという。

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