「手負いのラッキーボーイ」今宮健太がCSファイナルで波乱を起こす (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 万全での復帰ではない。でも、工藤監督は「抹消は考えなかった」と言う。

「彼は守備の要。あの守備で内野安打になりそうな打球をどれだけアウトにしたか。それを考えれば、(復帰の可能性があるならば)待ってあげるのが普通だと思った」

 投手にとっても、ショート今宮の存在は大きい。バンデンハークは「彼が後ろを守ってくれているのは本当に心強い。いいところで打ってもくれるしね。心強いという言葉以外にない」と言う。

 今宮はファーストステージの2試合を振り返って、「思った以上にやれた」と納得の表情を浮かべた。

「第1戦はとにかく緊張しました。でも、早い段階(初戦の1回表、3人目の打者の角中勝也)で打球が飛んできてくれて、それをアウトにできたのがよかった。送球を引っ掛けたり、抜けたりもしたけど、それを別にしてすべてアウトにできた。無難にこなせたのがよかったと思います」

 シーズン2位のソフトバンクが勝ち抜くのは容易ではない。また、過去に06年(当時はプレーオフ)と12年の2度、札幌でのファイナルステージを戦ったが、いずれも全敗で通算0勝5敗とデータ上は苦しい。

 しかし、ファーストステージではジンクスなどものともしなかった。2位球団は過去6年連続で3位球団に敗退していたし、対戦相手だった「下克上」のロッテは過去5度すべてファーストステージを突破していた。分厚いと思われた壁をあっさり乗り越え、札幌へ飛んだ若鷹軍団。波乱の予感を感じずにはいられない。

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