パドレスのインターンで見習い中。斎藤隆が目指す「野球人の仕事」 (2ページ目)

  • 田澤健一郎●文 text by Tazawa Kenichiro
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 それにしても、斎藤氏ほどの実績があれば、どこかの球団のコーチでも解説者でも、華やかな仕事はいくらでもありそうなものだが......。その点について斎藤氏は「まずチーム作りを学びたかったんです」と理由を語ってくれた。

「引退して自分が何をしたいのか、はっきりとわからなかったんですね。指導者への興味はあるのですが、もう少し自分の中に指導や選手評価の根拠となるようなベースがほしかったというか」

 現役時代から感じていた、ある疑問も気になっていた。

「なぜこの選手を放出して、あの選手を獲得するのか? なぜあの選手をドラフトで指名したのか? そういった"球団の判断基準"が僕にはわからなくて、ずっと知りたいと思っていたんです。僕自身も『ウチには君が必要だ』と言われてメジャーの球団と契約してきましたが、なぜ球団は断言できるのか不思議でしたし。だって年齢や故障のリスクもあるのに『メディカル(検査)は受けなくていい。どうせ引っかかるだろうから』なんて言われたこともあるんですよ。僕が入団すれば誰かが外れるわけだし、よくそこまで言えるな、と」

 そんな話をドジャース時代に親交のあったA・J・プレラー現パドレスGMにしたところ、「じゃあウチで働いてみるか」とトントン拍子に話が決まったのだという。つい先日も野茂英雄氏がアドバイザーに就任したように、パドレスが日本市場に大きな関心を持っていたことも追い風になったのだろう。かくして斎藤氏はパドレスの編成「見習い」となった。

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