ローテ入りへ、斎藤佑樹が身につけたい「山本昌の技術」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 そして、7月以降、3度目の一軍マウンドとなった8月14日の札幌ドーム。

 今度こそ、安心感を与えるピッチングをしなければ――斎藤がそう考えたとしても不思議ではない。そのために、斎藤は今一度、ストレートを軸にしてマリーンズ打線に対峙しようと考えた。

 結果、3回途中で5点を失い、58球で斎藤はマウンドを降りた。

 試合後、栗山英樹監督はこう言っていた。

「球はよくなってる。なのに、何でこうなるのか。佑樹が進まなければならない、勝つために克服すべき課題がそこにある。それは、アイツの能力を考えればそんなに難しいことじゃないと思う」

 しかし斎藤自身は、その監督の言葉を伝え聞いて、こう反応した。

「でも、打たれてしまったらしょうがないので......」

 ボールはよくなっている。

 しかし、結果が伴わない。

 この日のマックスは143キロ。ストレートは58球のうち、32球。うち25球が140キロを越え、最速の143キロを記録したストレートは5球を数えた。それも、その5球すべてが、3点を失った初回に集中している。

 強い真っすぐを投げる――この想いは、今年の斎藤を支えてきた軸だ。今日こそ、という強い気持ちが斎藤を力ませる。その結果が、初回の"速すぎる"ストレートだった。

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