【MLB】野茂英雄から大谷翔平までの道のり 日本人3人がドジャース先発陣を占める意味
2000年代前半、大黒柱としてドジャースを牽引した野茂と投手復帰を目指す大谷 photo Getty Images
前編:ドジャース先発陣に日本人3投手が占める意味
3月18日、ロサンゼルス・ドジャースの2025年シーズンが東京ドームで幕を開ける。昨季はギリギリの状態だった投手陣だが、経験を積んだ山本由伸の飛躍、オープン戦で脅威のスプリッターを見せた佐々木朗希の加入、大谷翔平の投手復帰と日本人3人がポストシーズンに向けてその屋台骨を支えることになる。
日本人投手がメジャーの名門チームで3人も先発に名を連ねるのは史上初のことだが、筆者は、野茂英雄と石井一久がドジャースの先発ローテーションの中心にいた2003年のドジャースを思い出す。
日本人の投手が当たり前のようにメジャーで活躍するなか、世界一のチームの中心になるまでの22年間、ドジャースの取り組みを振り返りながら、今シーズンへの期待を高めていきたい。
【野茂&石井が奮闘した2003年の記憶】
今年のロサンゼルス・ドジャースは山本由伸、佐々木朗希、大谷翔平の3人がローテーションで投げる。2度目のヒジの手術から復帰する大谷については、復帰のタイミングが定かではないが、3人とも90マイル(150キロ)以上の直球を投げ、空振り率の高い変化球を武器にし、サイ・ヤング賞レベルの才能を備えていると高く評価されている。
日本人投手がメジャー球団のローテーションのうち3つの枠を占めるのは、史上初めてのこと。ワールドシリーズ連覇を目指すチームにとって、3人の活躍が鍵を握る。ドジャース投手陣は2019年から2022年まで4年連続でチーム防御率1位を誇ったが、過去2年は13位と低迷。3人の力で再びトップの座に返り咲いてもらいたい。
過去をさかのぼると、ドジャースがチーム防御率で30球団中1位だったのは21歳のクレイトン・カーショーと黒田博樹のいた2009年、そして2003年だ。
2003年は野茂英雄と石井一久がローテーションで投げた。野茂はその年の開幕投手も務め、先発試合数でもイニング数でもチームトップを誇り16勝13敗、防衛率3.09、2完封のエース級の働きを見せ、石井も27試合に先発し9勝7敗、防御率3.86だった。ふたり合わせて60試合に先発、365.1イニングを投げ、25勝20敗、317奪三振だった。
この年のドジャースはブルペンも強力だった。クローザーのエリック・ガニエがサイ・ヤング賞に輝いたシーズンで、セットアッパーのギラモ・モタ、ポール・クワントリルのコンビも圧倒的な内容。チーム防御率3.16はナ・リーグ2位のジャイアンツの3.73に0.57差と大差をつけた。にもかかわらずチーム成績は85勝77敗で、ポストシーズンに進めなかったのは打線が弱かったことが原因だった。チームOPS(出塁率+長打率)は.671で30球団中30位、124本塁打もリーグ最少だった。
現監督のデーブ・ロバーツはこの年のチームで一番・中堅手で出場。シーズンの打率は.250、出塁率.331、40盗塁だったが、チームの攻撃力を底上げするほどの存在ではなかった。
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著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。