WBCは「出ようと決めていた」。青木宣親が世界一へチームを引っ張る (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

 リラックスした表情を見せるなど、WBCに向けて気負いはない リラックスした表情を見せるなど、WBCに向けて気負いはない 先を見ず、目の前の課題に向き合う姿勢はプレーの面でも同様だ。マリナーズでプレーした昨年は、春先に極度の不振に悩み、2度のマイナー落ちを経験した。しかし、そこで自分を見つめ直して結果を残し、再びメジャーに昇格。8月以降は打率.355と好調を維持した。目標としていた3割には届かなかったが、シーズン終了時には.283の打率を残し、チームのポストシーズン争いに貢献している。

「昨年は中盤まで苦しかったですけど、そこで自分の悪いところが分かってよかった。何が悪かったのかは秘密ですけどね(笑)。アストロズは若手が伸びてきているし、自分も去年の終盤のようなプレーができれば、面白いシーズンになると思う。個人的な目標としては3割、それ以上を目指してタイトル争いに絡めるようにしっかり準備したいです」

 ただ、ひとつ心配なデータもある。青木は2009年のWBCから帰国後のシーズンで、ヤクルトでレギュラー定着してから初めての不振に陥り、前半戦を打率.249で折り返している。

 また、2013年のWBCに出場した稲葉篤紀や井端弘和らも、シーズン開幕から調子が上がらなかった。稲葉こそ、シーズン終了時に打率3割に到達したものの、井端は最後まで復調せず、その年のオフに中日を退団している。ハイペースな調整と、WBCを終えての疲労の蓄積やモチベーションの低下などが指摘されているが、青木はそんなリスクを背負ってでも日本代表の一員として戦うことを決意した。

「今回はWBCの話がきたら出ようと決めていたし、それを許してくれたアストロズには感謝しています。レギュラーシーズンの入り方にも不安はありませんが、自分にとっては、日本代表に入ってチームの力になることが最も重要でしたから」

 規定により、メジャーリーガーの青木は3月1日からチームに合流する。前回、準決勝で涙をのんだ侍ジャパン。しかし青木は「今大会で目指すのは当然、世界一。それができるメンバーが揃っているし、目の前の試合を勝っていくだけです。そのチームを自分が引っ張っていきたい」と力強く語った。

 静かに闘志を燃やす「世界一を知るリーダー」が、日本代表を再び頂点へと導く。

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