【ドラフト2026】「牽制がくる時は必ず違和感が出る」 亜細亜大・山里宝が明かした異次元の盗塁術 (2ページ目)
【わずかな違和感を見逃さない】
続いて山里は、盗塁時の投手を分析するポイントを語ってくれた。
「ピッチャーは、まず背中越しにくる目線。首振り。肩で始動するか、(右投手の場合)右足が先に動くか、左足が動くのか。頭が先に動くか、グラブ主導なのか。セットポジションの上体が高いか、低いか。動作からの秒数。そういうパターンがすべて、自分のなかにインプットされています。だから1〜2球も見れば、どんなピッチャーなのかわかるし、違和感に気づきます。牽制がくる時って、必ず違和感が出ますから」
山里が「マネできない」と断言するのは、これだけの要素を情報として持っていても、行動に移すのは極めて難しいからだ。むしろ塁上で頭がパンクし、体が反応できなくなってしまうに違いない。山里が言う「違和感」とは、これまで見てきた膨大なサンプルから抽出された、ほんのわずかな不調和でしかない。
つまり、山里本人だから察知できることなのだろう。山里は「今まで自分が犯したミスのすべてが、財産になっています」と語る。
走塁だけでなく、打撃も守備も山里は細部にわたって野球IQを働かせている。話を聞けば聞くほど、山里宝という選手が最高峰のプロの世界でも生き残れるような気がしてくる。ましてやNPBでは交流戦を除けば、対戦相手は同一リーグの5球団に限られる。山里が重視する情報は、必然的に積み上がりやすくなる。
山里は「ドラフト順位は何位でもいいので、プロに行きたい」と口にした。
「(プロに)入ってしまったあとのことは、自信があるので。あとは足をもっと速くするとか、能力を伸ばせるかがカギになってくるのかなと。自分のなかでは伸びしろだと思っていますし、足はもっと速くできると思っています」
プロ野球の世界に足を踏み入れた時、稀代の野球IQの持ち主は、どのような進化を見せるのだろうか。この選手を指名した球団は、文字どおり「宝」を手にするように思えてならない。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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