【夏の甲子園2026】「勝負をかけなきゃいけない時に...」動けなかった健大高崎、動いた智辯和歌山、明暗を分けた8回裏の攻防 (4ページ目)
【勝負をかける勇気】
思えば智辯和歌山は2対1と苦戦した初戦の社(兵庫)との試合でも、1点差に迫られた7回裏一死三塁で、相手のエンドランを読みウエストし、得点を許さなかった。
もちろん、勝負をかければ必ず成功するわけではない。
石田翔へ継投していれば抑えられたのか。スクイズを外していれば失敗させられたのか。シフトを敷いていれば流れを断ち切れたのか。
それは誰にもわからない。ただ、頭に浮かびながら、やらなかったことには悔いが残る。
1点を追う苦しい展開から、8回表のひと振りで一転して優勢に立った健大高崎。あと2イニングを抑えれば頂点に立てる──。その瞬間、選手にもベンチにも、それまでとは違う何かが生まれたのかもしれない。
そして8回裏、勝負をかけた智辯和歌山に対し、健大高崎は「勝負をかけるべき瞬間」を何度も感じながら、最後まで一歩を踏み出せなかった。
甲子園の決勝を分けたのは、暴投というひとつのミスだけではなかった。勝負をかけたか。それとも、かけられなかったか。そのわずかな差が、最後に深紅の優勝旗の行方を決めた。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
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