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【夏の甲子園2026】「勝負をかけなきゃいけない時に...」動けなかった健大高崎、動いた智辯和歌山、明暗を分けた8回裏の攻防 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Masataka Tajiri

 北田は直球が130キロ前後で、本来は打たせて取るタイプだ。無死一塁から三振を狙いにいったのは、いつものスタイルとは少し違った。

「逆転してくれたので、自分が抑えて何とかチームにいい流れを持ってこようという気持ちでした。優勝は意識していません。相手チームの流れに少し呑まれてしまいました」

 無死一、二塁となり、智辯和歌山は代打に主将の松本虎太郎を送った。送りバントが予想される場面で、松本は1球で決め、走者を二、三塁へ進めた。

 優勝インタビューで、中谷仁監督が「松本のバントで逆転まで見えた。魂のこもったすばらしいバント」と絶賛したプレーだ。

【勝負を分けたベンチの判断】

 この場面を悔やんだのが、健大高崎で守備面の作戦を任されている生方啓介部長だった。

「バントシフトを敷こうと思ったんですけど......。そこがちょっと自分に勇気がなかったですね。準備はしていたんですけど」

 一死二、三塁となり、中谷監督は7番・川原一将に初球からスクイズのサインを出した。97キロの低めのカーブをバントした打球はファウルとなり、捕手・大岩を直撃した。治療に時間を要したため、両チームの選手はいったんベンチへ引き揚げた。

「引きずっていたんですけど、一回ベンチに帰って、その時に監督から『もう一回やるぞ。失敗してもいいから自信持っていけ』と」(川原)

 健大高崎ベンチも、もう一度スクイズを仕掛けてくることは頭にあった。

「どこかのタイミングで、もう一回あるのはわかっていました。警戒はしていました」(北田)

 再開後の初球、川原はヒッティングの構えから見送ってボール。カウント1−1となり、迎えた3球目。109キロの低めのカーブをスクイズした打球は、投手と捕手の間へ転がった。北田は懸命にグラブトスしたが間に合わない。

「ピッチャーとキャッチャーの間の一番難しいところ。(捕手に任せるか)少し迷いました。判断ミスです」(北田)

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